COIL Upcycle Art Contest2022グランプリ発表! ニュースリリース | 中特グループ Japan オフィシャルサイト
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COIL Upcycle Art Contest2022グランプリ発表!

2022/12/13

12月10日(土)13:30~16:00 ㈱中特ホールディングス本社にて「COIL Upcycle Art Contest 2022」の1次審査通過者による最終プレゼン及び審査、表彰を行いました。全国から100点もの企画応募があり、そのうち7作品が1次選考(企画書による書類審査)を通過し、当日は作家さんご自身より作品についての思いの丈をプレゼンテーションしました。その後、審査員による審査・評価が行われ、グランプリ等が決定しました。

グランプリ

作品名:ことだまのうつわー[毳器]ー
作 者:押鐘 まどか(おしかね まどか)

【寸法】 
 A : small / white W:18cm L:18cm H:23cm 500g
 B : gourd shape / beige W:27cm L:27cm H:30cm
 C : round shape / beige W:38cm L:32cm H:18cm
 D : long neck / black W:33cm L:28cm H:45cm
 E : big / black & white W:35cm L:32cm H:40cm
【素材】 
 生地耳 (生地生産の折、織機の高速化により生じる端材)

目からそして耳から、私たちはあふれんばかりの情報を受け取っている。では手からはどうだろうか?触感は五感の中で、日常的過ぎて顧みられることの少ない、しかし人が生まれて最初に頼る根源的な感覚ではないか。VRが日常的になり非接触の日々が続き、私たちの触覚は鈍化していないか?目を瞑って、そっと指先で触れてゆっくりとなでる。ふさふさしてけばけばした束なりを、もいっとしたなだらかなふくらみを、ぎゅいっとしたくびれを、そしてやわらかく穿たれた口を。漢字の「口」部分は、天からの祈りのことばを入れるところと聞く。ならば「器」はたくさんの人知及ばぬ自然からのメッセージが託されているのではないか。静かに身を寄せ合う異形の彼らは、声なき自然の代弁者。そう告げられた時、私たちはぽっかり開かれた口の中へ躊躇なくぼいっと手をいれられるだろうか?器に託された祈りを、見えないあちら側の世界のことばを読み取る力が私たちにあるだろうか?

本作品は、ユニークなテクスチャーをトリガーして、触感のリテラシーと環境倫理の問いを投げかけ、人新生のあちらがわからの声を感じる役割を忍ばせたソフトスカルプチャーである。 「触感」は共感を伝えるのが難しい領域だが、しかし、手で作ることや手で感じとることは、誰しもが主観で感じて直接体に深く響く行為だ。つまり触感のリテラシーと生への喜びとは深く結びついていると信じている。ことだまのうつわ-[毳器]-が、多くの人の環境への意識を共有するきっかけになれればと願っている。

「触感」は共感を伝えるのが難しい領域だが、しかし、手で作ることや手で感じとることは、誰しもが主観で感じて直接体に深く響く行為だ。つまり触感のリテラシーと生への喜びとは深く結びついていると信じている。ことだまのうつわ-[毳器]-が、多くの人の環境への意識を共有するきっかけになれればと願っている。

グランプリ

作品名:おこもり
作 者:森 有未(もり あゆみ)

【寸法】
 幅875 ㎜× 奥行875㎜ × 高さ2,380㎜
【素材】
 ビニール袋

毎週頼む宅配サービスは半透明のビニール袋4,5ほど届くため、使い切れずに積み上がっていく袋を素材にしようと思いつきました。そこへたまたま差し込んだ光が透過する美しい様を目にして、自然光の溢れるこの場所で1人ボーッとできる半透明の空間が頭に浮かび上がりました。

様々な矛盾や問題はあれど、ビニール袋は色んなものを懐広く守ってくれる包みではあります。その袋を紐状に細長く裁断し、指で編んで繋げて作られる空間は、私の大きな手から生まれた光に包まれ、守られている心象風景に繋がるように感じました。

今回、自分だけでなく友人知人から集まった不要な袋から作品を生み出せたことは、しばらくプラスチック素材に触れてきた者として向き合ってきた、環境問題への一つの答えが見つかったようで少し心が軽くなりました。経年変化による朽ちゆく姿は自然の成り行きと捉え、繕うことでまた新たな魅力を引き出し続けていきたいです。

どうぞ優しく触れてみてください。入り口は狭いので体を低くしながら、1人ずつ順番に中へお入りください。外から見るだけでなく、作品の中に入って触れることで「そこにある」ことを実感する。その小さな体験は、作品を介して自分自身を見つめる動きのように思います。

審査員特別賞

作品名:在り方
作 者:鈴木 麻希子(すずき
まきこ)

【寸法】
 幅2m×高さ2m (A3パネル8枚配置)
【素材】
 食べ物の皮、傘、糸

「縫う」ことをテーマに、いずれは捨てられてしまうものを土台にして、制作を行っています。今回は、主に食べ物の皮を縫ったものを撮影し展示しています。過去には、廃棄されるレシートやカップ麺の蓋などを縫った作品も制作していました。

縫っている時の、私の手指の感覚を共有することは難しいと思います。ですが、カメラというフィルターを通すことで生まれる「写真」を見た世界は、皆と共有できるかもしれません。

実物以上の大きさに引き伸ばされた写真には、普段の意識では見過ごしていることがたくさん詰まっています。1枚の報道写真が世界を変えるように、1枚の写真でモノの見方をシフトできたら。

今回、実物展示のご要望も頂きましたが、このような思いから作品写真の展示をさせて頂きました。作品にある、時間の経過、儚さ、元通りにはならない繕いは、地球の環境や命とリンクしていきます。消費・廃棄されてしまうモノへの、再認識へ繋がるスイッチになれたら、と願っています。

入賞作品①

作品名:廃棄本は、ごみ?作品?資源?  MOMINICATION 揉みにケーション = MOMU 揉む × COMMUNICATION
作 者:しょうじ まさる

【寸法】 
 幅900㎜×奥行920㎜×高さ680㎜
【素材】
 廃棄本(漫画本、文庫本、辞書)、廃棄トタン、廃棄木材

私は、2008年よりフィールドワーク、ワークショップ、インスタレーション、リサイクルからなる「MOMINICATION 揉みにケーション」といったプロジェクトを展開し、現在に至ります。「本」を素材としてきた理由は、一番身近にあり、簡単に手に入るものは生活になじみすぎて、普段は見過ごされていることが多いと思ったからです。そのような身近にあるものを素材とすることで、奇を衒うことなく、身近にあるものの既成概念を打破し、新しい価値の提案を試みてきました。

今回は、廃棄本を素材にしました。誰にでも、愛着があった漫画本、思い入れのあった文庫本、手垢のついた辞書はあるかと思います。提供者より廃棄本に関するエピソードをうかがった後、しょうじまさる独自の「本を手で揉む」といった感性表現を空間の特性にあわせて集積することで、廃棄本に封じ込められていた思い出や記憶、情報の可視化を目指し、廃棄本をアートへ昇華できると考えました。  

「MOMNICATION 揉みにケーション」は、現在進行形のプロジェクトです。今後は、作品を廃棄事業所へ展示しゴミと作品と資源の相違の考察や、作品をリサイクルし資源の循環を促進していきたいです。私の実験芸術は、続きます。

入賞作品②

作品名:音物達(おともだち)
作 者:直井 大紀(なおい だいき)

【素材】
 テニスボール・キャッシュカード・歯ブラシ・ピンセット・バリカン・コンビニのスプーン・金尺・レッドブルの空き缶・ヤクルトの空き容器・箸・ガラス容器・ガラスボウル・数珠・フリース

大学の社会デザイン(人と社会をつなぐデザイン)というゼミで制作した作品です。先にスピーカーから音楽が流れ、一見通常のテクノが流れているように聴こえますが、 ブラックボックスの覗き穴を覗くと「実は身の回りの物やガラクタでできている」 という動画でネタバラしをする仕様の作品です。後半は悟りを開いたかのような雰囲気を感じていただきたく、サイケトランス風にこだわって制作しました。

元々は同じゼミの異性にSNSで「その子に自分がブランド物を貢いだ」という虚偽のネタツイートをされたことに対するやり返しという、とてもくだらないきっかけ でした。笑

人は時に自分の容姿や立ち位置、SNSの数字やお金をいくら稼いでいるかなどを比較して悩んだり人にぶつけてしまったりしますが、そういった生物的な話よりさらに物質次元なこれらのその辺にあるものやガラクタでも洗練された音楽になり得るし、こういった価値観は稚拙な内容とも捉えられるけど、忙しかったり欲張ると無くしやすい捉え方だと思いました。

また、こういった人間関係の苛立ちは実際に乱れた遊びやポイ捨て、破壊衝動に繋がることもあるので結果、社会的にも因果関係があるのではないかと感じました。「人は無意識のうちに何をもって価値の無い物と定義しているのか」という疑問と、友情や思いやりというものは本来はこれくらい美しいものであるということを自分自身忘れたくないという思い、「面白さ」という要素の刺激で誰かの気が少しでも楽になるきっかけになると良いなという意思で作品としてアウトプットしたく、制作しました。

入賞作品③

作品名:Material Anatomy
作 者:シモ×dom 下田悠太(しもだ ゆうた)、ノドム(のどむ)

【寸法】 
 600㎜× 600㎜×300㎜
【素材】 
 空き缶、アクリル板、ドラム缶

素材をみつめ、解剖することをテーマに、折り紙の構造から展開する建築家・下田と廃材(主に空き缶)から展開する再生家・nodomによるユニット:シモ×dom

私たちは、今回その第一弾として空き缶で作られた老若男女のヌードの制作を始めました。

本来、空き缶は中身が在る時は“空き缶”とは呼ばれず、ジュースやビールなどの“器”として役目を担っていました。中身は飲まれて無くなるけれど、むしろ空間を包んでいる空き缶には“器”としての新たな可能性が生まれています。自分が飲み干したときは、飲料の入った体とそれが入っていた空き缶という関係性も生まれます。そして直接関係を持った空き缶なら、まるで肉体のように想いや魂の“器”になり得るのではないか・・・。そこで人間の魂や臓器を包む肉体と空き缶を同義と捉え、空き缶で裸体を表現することにしました。

どんな味のどんな色のどんな感触のどんな音のどんな匂いの何が入っているのか、どんな心を持っているのか・・・。器のカタチに滲み出るのだと思います。私たちの体内に無限の宇宙が広がる様に空き缶の中にも空が広がっている。

本作品では自分たちが飲んだ空き缶を材料に、切りこみを入れる・折るという限られた操作だけで肉体を表現しました。下田の折り紙の技術とnodomの人体の見方をクロスオーバーさせることにより、空き缶の文字にも存在する「空」のように素材の可能性が広がる事を願って・・・。

入賞作品④

作品名:circulation
作 者:柏崎 桜(かしわぎ さくら)

【寸法】
 幅1,000㎜ × 奥行5㎜ × 高さ1,000㎜
【素材】
 レシート、アクリル板

買い物をするとき、誰もが何らかの基準に基づいて、自分が買うものを選んでいます。そんな商品を選ぼうとする思考のうねりを、買い物の痕跡であるレシートの印字に浮かび上がらせました。

毎日、沢山の人がどこかで買い物をしていますが、環境への配慮という選択の基準を取り入れる人が増えていったら、どうでしょうか。例えば、
・余るほど買うことを控え、今持っているものを長く使う
・成分や製法、製造者の理念など、環境に配慮されたものを選ぶ
などが挙げられます。皆がこうした基準を取り入れるようになっていけば、雑然としていたうねりがある方向性を持つようになります。買い物はお金だけではなく、資源を循環させる流れになっていくはずです。そんな世の中になって欲しいという思いを込めて制作しました。

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